イケメン兄の甘い毒にやられてます

「…藍さんは?私のこと、認めてくれるでしょうか?」
「…くれるもくれないも、元から俺は、藍さんと結婚するつもりなんて、全然なかったし」

「…でも、藍さんは圭吾さんのこと、好きなんじゃ」
「…夕陽」

「…はい」
「…藍さんの事は、俺に任せて…夕陽、よく1人で、ここまで頑張ったね。ありがとう」

そう言って微笑んだ圭吾を見て、安心した夕陽は圭吾にしがみついた。

「…圭吾さん、…圭吾さん、…会いたかった…冷たくされて悲しかった…大好きです、圭吾さん」

「…独りにしてごめんなさい。夕陽、俺も大好きだよ」

会わなくなって数ヶ月、つもり積もった思いを、圭吾に沢山ぶつけた夕陽は、やっと落ち着いた。

「…夕陽、帰ってきてくれる?」
「…はい」

…二人はやっと幸せな時間が戻ってきた。












はずだった。











「…ダメですよ」


…え?



「…一度、入寮した生徒は、卒業するまで、退寮出来ない決まりになってるんですよ、入寮規則読まなかったんですか?」


寮母ならぬ寮父に言われた夕陽と、圭吾。

夕陽は、ハッとする。そう言えば、そんな事が書いてあった気がする。元々、卒業するまで、寮生活する予定だったから、そんなこと気にしていなかった。


圭吾は目を見開き、次の瞬間、寮父を凝視する。

…若い、若すぎる。

「…でもあの、私、」
「…退寮は認めないよ、夕陽ちゃん」

寮父が若すぎる。

しかも、生徒を下の名前で呼ぶとかあり得ない。


「…夕陽を返してください、寮父さん」
「…卒業したらね?」

…結局、夕陽は退寮することは出来なかった。