朝陽の話はこうだった。

相良先生に頼み、内科の教授である相良教授に、圭吾と、娘さんとの結婚をやめてもらいたいと、直談判に行ったこと。

だが、何度も門前払いをくらっても、夕陽は諦めず、相良教授、そしてその教授のサポート役をしている娘さんにも、何度も掛け合ったこと。

会うことが許され、圭吾との結婚を諦めさせたいなら、相良教授の条件、そして娘さんの条件を実行できたら、諦めると言ったこと。

教授の条件は、学校以外の時間を、全て教授の為に使うこと。忙しい娘さんのサポートをすること。

娘さんの条件は、高校卒業するまで、圭吾の傍を離れることだった。

だから、夕陽は時間があれば何度も病院を訪れていた。

そして今日帰らないのは、寮に入寮して、圭吾から離れることだった。

夕陽は、圭吾に、入寮することを話したかった。

詳しいことは言わないよう、二人には釘を刺されていたが。

朝陽も学も、最初は、孟反対だった。

相良教授は、学が説得すると言ったのだが、頑として、夕陽は自分の誠意を見せたいと言った。


だから、朝陽も学も、賛成せざる終えなかった。

勿論、学は、何かあれば、夕陽を守るつもりでの賛成だった。

朝陽は、圭吾への夕陽の想いが、どれ程本気かよくわかった。

…全ての話を聞き終え、自分の考えが、どれ程浅はかだったかと圭吾は思わずにいられなかった。

夕陽の変化に気づいていたのに。

まさか、自分に縁談があがっていたことを夕陽が知っていたなんて思いもしていなかった圭吾は、今すぐにでも、夕陽に会って、謝りたかった。

…夕陽の為に自分ができること。

それは。