翌朝、圭吾は夕陽を見ることはなく、そのまま仕事に向かった。

夕方、仕事を終え、帰って来た圭吾の目の前には、朝陽がエプロンを着けて、キッチンて、夕飯の仕度をしていた。

「…ぁ、おかえりなさい、圭吾さん、今夜はビーフシチューですから」

にこやかに答えた朝陽は、また、包丁を動かしだす。

…この家に、夕陽と朝陽が引っ越してきて以来、ほとんどが夕陽のエプロン姿で、何だか違和感があった。

…午後7時過ぎ、学も帰宅し、3人での夕食。

…3人?

夕陽が帰宅してこない。

圭吾は気になって、朝陽に問いかけた。

「…朝陽さん、あの、夕陽は?」
「…夕陽は、もう、この家には帰ってこないわよ?」

「…え?」

圭吾は、自分の耳を疑った。

「…夕陽ちゃんから、何も聞いてないのか?圭吾」

学ぶに言われ、ハッとする。

そう言えば、昨夜、夕陽が話があると言っていたような。

「…夕陽から、何も聞いてないって顔ね?」
「…はい」

「…あの子、今日から、学校の寮に入ったのよ?」
「…え??寮に?何でまた急に?」

圭吾が本当に何も知らない事を察した学は、ため息をついた。

「…お前たち、付き合ってたんじゃないのか?」
「…」

「…全く…夕陽ちゃんがあんなに必死に頑張ってるっていうのに」

「…父さんは知ってるんですか?」
「…当たり前だ。私は夕陽の義理でも父親だ。全て理解した上で、寮に入寮させたんだからな」

「…学さん、そんなに圭吾さんをいじめないであげてください。圭吾さん、今から夕陽がどうしてこうなったのか、説明しますから」

そう言うと、小さなため息をつき、朝陽が説明を始めた。