イケメン兄の甘い毒にやられてます

…圭吾が仕事が休みの間、夕陽の熱は、次第に下がり、週末には、すっかり元気になっていた。

『少し、病院に行って、それが終わったら食事に行こう』

元気になった夕陽を連れ、病院へ。車に夕陽を待たせ、圭吾は病院の中へ。

その間、夕陽は車の中で、携帯をいじっていた。

…少しだけ。

そう言われていたのに、圭吾がなかなか帰ってこない。

心配になった夕陽は、預かっていたキーで車に鍵をすると院内へ。

「…ぁ、圭吾さ!」

…向こうから来た、圭吾に気づいた夕陽が、声をかけようとしたが、それはできなかった。

圭吾は誰かと何やら言い合っている。

相手は、白衣を着た年配の医者だ。

…その医者の横に、清楚な美人が1人、一緒に歩いている。

「…圭吾さん、そんなに私との結婚はお嫌?」

3人の足が同時に止まった。

その美人の言葉を、夕陽も聞き逃さなかった。

…この間の電話の内容を思い出す。

…あの美人が、圭吾の結婚相手?

夕陽は、震える手を握りしめた。

「…いい加減にしてください。私は貴女と結婚…夕陽?」

夕陽に気づいた圭吾、夕陽は思わずその場を逃げ出した。

「…夕陽!!」

圭吾の言葉なんて、耳に入らなかった。

とにかくこの場から逃げ出したかった。

夢であってほしいと、何度も願った。

だが、これは、紛れもない現実。

圭吾は、彼女と結婚するのか?

夕陽は溢れる涙を止められなかった。


…走って、走って、走って、

誰かに思いっきりぶつかった。