イケメン兄の甘い毒にやられてます

ベッドの傍らに腰かけた圭吾は、強張る夕陽を自分の方に引き寄せ、ひしと抱きしめた。

「…圭吾、さん?」

怒られるのを覚悟した夕陽だったのに、抱き締められて、驚く。

「…怒りたいけど、怒れない」
「…」

黙りこむ夕陽。

圭吾は体を少し離し、おでことおでこをくっつける。

夕陽は困惑しつつ、上目遣いに圭吾を見た。

「…まだ熱あるね」
「…昨晩よりは下がりましたよ」

「…夕陽」
「…?」

「…傍にいてやれなくてゴメンな?」
「…お仕事だったんですから、仕方ないですよ」

「…相良がいてくれて良かったのに、嬉しくない」
「…ぇっと、それは」

目線を泳がす夕陽。

「…夕陽のせいじゃないのはわかってるから、夕陽に怒ってなんかない」

「…でも、怒ってますよ。顔が」
「…怒ってるとすれば、自分にかな」

「…」
「…今度からは、仕事より、夕陽をとる」

圭吾の言葉に、目を見開く夕陽。

「…これは言い過ぎだけど、それくらい夕陽が大事だから、それだけはわかって?」

気恥ずかしそうに笑って、夕陽は小さく頷いた。

気になることは、沢山ある。

けれど夕陽は今この幸せな時間をただ、噛み締めていたいと圭吾に、自ら抱きついて、しばらく離れなかった。

甘えてくれる夕陽がかわいくて、圭吾も夕陽を離すことはなかった。