しばらく眠った夕陽は、目を覚ました。

喉が乾いて、キッチンに飲み物を取りに行く。

「…その話は断ったはずです」
「…」

リビングから、少し怒った圭吾の声が聞こえてきて、夕陽は、足を止めた。

「…相良教授の頼みでも、愛美さんと結婚はしません」

教授?…結婚?

「…私は、教授になりたくて医者になったのではありません…すいません、今忙しいので失礼します」

圭吾は携帯を切り、ため息をついた。

ガタッ。

物音がして、圭吾は驚いたように振り返る。

「…夕陽、目が覚めた?」
「…」

「…夕陽?」
「…ぇ、あ、はい…喉が乾いたから、飲みに来たんです」

夕陽の言葉に、立ち上がった圭吾はそそくさとキッチンに入っていく。

「…冷たいものがいいかな」

圭吾の言葉に、頷く。

「…入れたら持っていくから、ソファーに座って」

言われるままに行動する夕陽だが、頭の中は、さっきの電話の内容が頭をぐるぐると回っていた。

「…はい…少し、熱下がったみたいだな」

コップを夕陽に渡すと、圭吾は夕陽のおでこに手を当てた。

「…圭吾さん」
「…ん?」

さっきの事を聞こうと思ったが、出来なくて。

「…夕陽、大丈夫か?」

「…もう少し、寝てきます」

…さっき、病院で見たときより、元気のない夕陽が気になって、圭吾は思わず夕陽を抱き上げた。

「…え?!圭吾さ、何して?!」
「…元気がないから、こうやりたくなった。このまま連れてくよ?」

「…圭吾さん」

慌てる夕陽はお構いなしに、圭吾は夕陽を抱っこしたまま、寝室に連れていくと、ベッドにそっと下ろした。

…夕陽の顔は、真っ赤っか。

圭吾はクスッと笑って、夕陽の唇に自分の唇を当てた。

「…夕飯出来たら持ってくるから」
「…ぅ、は、はぃ」

さっきまでのモヤモヤが、今ので帳消し



になったら良かったのに…