イケメン兄の甘い毒にやられてます

「…話したくない?」
「…」

何も言えないまま、目線だけを反らす。

「…わかった」

諦めてしまったような圭吾の声、次の瞬間には手は離され、部屋を出ていこうとする。

夕陽はガバッと起き上がって、圭吾を涙目で見つめる。

ドアに手をかけた圭吾は一言。

「…今日も、明日も休みなんだ。だから、夕陽が言ってくれるまで片時も離れないよ」

…諦めたんじゃ?

「…朝食の準備をするから、顔を洗っておいで」

そう言った圭吾が振り返った。

それはとても優しい笑みを浮かべて、夕陽を見て、そして、部屋を出ていった。

…圭吾の宣言通りだった。

どんな時も、夕陽の傍を片時も離れない圭吾。

いつしか夕陽も、話さないといけない気持ちになっていた。

…その日の夜、夕陽は、テーブルを挟んで、夕陽と圭吾が座る。

「…圭吾さん」
「…ん?」

雑誌を読んでいた圭吾はそれをテーブルに置くと、夕陽を見た。

「…私」
「…うん」

「…あの日の夜、相良に」
「…」

「…キス、されて…汚れ物になった」
「…よ、汚れ物って」

「…だから、もう、圭吾さんとは、付き合えない!ごめんなさい!」

早口にそう言って立ち上がると、ダッシュで部屋に。

…が。

そう簡単に圭吾が逃がすはずもなく。

後ろから、抱きしめられた。

「…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさ「…シー…もういいから、落ち着いて夕陽。こっち向いて」

圭吾が夕陽を振り向かせた。