…大人なキスに、夕陽は、それを受け止めるだけで必死。

離れた圭吾の顔を紅潮した顔で、息も少し切れ気味に見る夕陽を、可愛いと思い、思わず押し倒すと、夕陽は目を見開いた。

…ぁ。

と、思って、圭吾は夕陽を起こして、また抱きしめた。

今度は、壊れ物でも抱くように優しく、優しく。

「…圭吾、さん」
「…ごめん」

「…ぇ?」
「…夕陽があんまり可愛くて」

「…ふぇ?!」
「…思わず押し倒した…だから、ごめん」

圭吾の言葉に、どう返したらいいか困った夕陽は首をふる。

「…はぁ…まだ、キス以上の事は、しないから。夕陽が、もう少し大人になるまで待つって決めてたのに」

「…我慢…してくれてる?」

夕陽の言葉に、圭吾は苦笑い。

「…圭吾さん」
「…ん?」

「…早く、大人になるから」
「…うん」

「…見捨てないでね?」
「…バカ」

夕陽のおでこを軽く小突く。

夕陽は、えへへと、笑った。

…大人?

…いつになったら、大人になるの?


夕陽は、心の中で、自問自答した。