「…圭吾さん、あの」
「…うん、両親に認めてもらえてるなら、問題ないね」

「…へ?」

圭吾の言葉に、夕陽はきょとんとして、そんな声を出す。

「…そんな顔しない。夕陽は、笑ってる顔が一番いい」
「…本当に大丈夫かな?」

「…もし、父さんが反対しても、ちゃんと認めさせるから。夕陽は何も気にしなくていいから」

そう言った圭吾は夕陽のおでこにキスをした。

…その後、3人で朝食を食べ、圭吾は仕事へ。夕陽は学校に向かった。

「…夕陽、テスト勉強進んでる?」
「…へ?…ぇ、あ。全然してない!ヤバイ!明後日からテストなのに」

「…バッカだなー、俺が教えようか?」
「…うん!ぁ…うーん、どうしよう」

圭吾の顔がちらついた。

春人が夕陽の事を好きだと言うことを知ってる。断ったにしても、二人きりはどうかと思う。

「…春人、ありがとう、でも、一人で頑張る」

そう言うと、その言葉通り、夕陽は学校が終わると、自宅に戻り、今夜は朝陽が夕飯を作ると言うので、部屋にこもって、勉強を必死でこなした。

…とはいえ。

数学が苦手の夕陽はそれだけはどうしても煮詰まって、教科書とにらめっこ。

そんなときだった。

ドアをノックする音。

夕陽が返事をすると、お盆の上に、アイスティーと、サンドイッチが乗せられたものを持ってきてくれた。

…只今の時刻、午後、10時。

持ってきてくれたのは、圭吾だった。

「…お義母さんが持っていこうとしてたから」
「…あ、圭吾さん、ありがとう」