イチャイチャタイムも、束の間。

ノックも無しに、いきなり夕陽の部屋のドアが開いた。

「…ただいまー!夕陽っ…あら、取り込み中?」
「…ま、ママ?!」

まだ
10日も、経っていないのに、突然母が帰宅した。

しかも、こともあろうか、抱き合ってる時に。

夕陽は驚いて圭吾を突き離そうとするも、圭吾は絶対に夕陽を離そうとはしなかった。

夕陽は不安一杯の顔で、母と圭吾を交互に見る。

…。

沈黙を破ったのは。

「…もぅ!いいのよ、離れなくてー」
「…ママ?」

満面の笑みでそう言ったのは、母。

夕陽は面食らった顔をする。

「…お義母さん、俺」
「…だから、いいのよ。圭吾君の気持ちは知ってたから」

「「…」」

母の言葉に、二人は顔を見合わせる。

「…勿論パパも知ってるわよ。夕陽の事を聞いてるときも、夕陽の写真を見てる圭吾君は、恋した顔、そのものだったもの。だから、もし、二人が恋人にでもなったら、祝福しましょうねって、パパとも話してたのよ。でもまさか、こんなに早くくっつくと思ってなかったから、パパ悲しむでしょうねー。夕陽を娘として可愛がりたくて仕方なかったみたいだから。あ、今は心配しないで?パパ、病院に呼び出されて、向こうに行ってるから。じゃあ、ごゆっくりー。朝食の準備はしておくから」

…パタン。

嵐のようにやって来て、嵐のように去っていった。

相変わらず夕陽と圭吾は困惑していた。