…車の中、圭吾は夕陽が何処にいるのか考えていた。

水族館の外は、駐車場と、海があるだけ。そんなわかりやすいところに、夕陽がいるはずがない。

…いるとすれば、水族館の中だ。

…間もなくて着いた圭吾は車を駐車場に停めると、直ぐに水族館の中へ。

今日は、日曜日と言うこともあって、館内は、人でごった返していた。

夕陽一人を探すのも、困難を極めた。

もう一度電話してみる。

『…はい』
「…夕陽、何処にいる?館内を何周もしてるのに、見当たらない」

『…そうですか?私は圭吾さんを見つけましたけど』

その言葉に驚いて、辺りを見渡すも、夕陽はやっぱり何処にもいない。

「…必ず見つけるから」
『…閉館までに、見つけられますかね?』

そう言うと、電話は切られた。

…。

こんなにあちこち探し回っているのに、夕陽が見つけられない。

…日は、どんどん傾いていき、夕方になろうとしていた。

圭吾は階段を上っていく。

その時だった。白いワンピースを着た、黒髪の女性が一人、窓の外にある海を眺めているのが見えた。

…圭吾は階段をかけあがり、その女性の肩を掴んだ。

「…夕陽、見つけた」
「…」

夕陽なのは、確かなようだ。だが、夕陽は振り返ろうとしない。

圭吾は手を下ろすと、ポケットから、何かを取り出した。