店内では、静が圭吾を説教していた。

「…だから、いつも言ってるだろ?仙崎って、呼べって」
「…静って名前、お前によく合ってるからいいだろ?それに…」

そう言いかけて、圭吾が夕陽を見て微笑んだ。

さっきの夕陽が嬉しくて、その事まで静に話そうとしているのが分かった夕陽は、圭吾を睨んだ。

「…バカップル」

そう言った静が酒を飲む。

「…バ、バカップルって。私達は兄妹で、カップルじゃ」

慌てて夕陽が弁解するが、静はそれを聞き入れない。

「…夕陽ちゃんは圭吾のこと嫌い?」

夕陽は困り顔で圭吾をチラ見する。

本人にもまだ好きだって言えてないのに。

「…好きだよね?」

圭吾もそう言って、私の心意を確かめようとする。

…。

「…大人二人で子供をイジメないでください」

と、切実に訴えた。

「…だよねー、ゴメン、ゴメン、圭吾があんまり夕陽ちゃんを溺愛してるもんだから、夕陽ちゃんはどうなのか、知りたかっただけなんだよな」

と、ちょっとバツの悪そうな顔をした静。

「…夕陽の気持ちは、俺だけが知ってれば良いことだよな」

と、夕陽の隣で納得してるのは圭吾。

「…よし、この話は終わり。今日は、夕陽ちゃんと楽しく話がしたくて来たんだから」

静の言葉通り、その後は全く違う話題になり、夕陽は心底ホッとした。