「…春人、告白の返事をしたいんだけど」

「…突然だな?」

「…そうだよね。私も思う」
「…じゃあ、まだ言うなよ」

春人はそう言っておどける。

「…ううん、言う。だって、私のせいで春人が悲しんだり、辛くなったりとかいやだから」

「…て、お前の方が泣きそうなんですけど?」

「…泣かないよ。泣かない」
「…声、震えてんじゃん」

「…春人、ごめんなさい!春人とはずっと友達でいたい。それ以外考えられないの、本当にゴメン」

深々と頭を下げた夕陽。

「…夕陽、お前なぁ」

春人は大きなため息をついた。

夕陽はまだ、頭を上げようとしない。

「…もういい、わかった。とにかく頭上げろ。夕陽と俺は友達」

「…春人」

「…あーもぅ、そんな顔すんなって。教室戻るぞ。咲が怒り出す前に」

「…うん」

その時だった。夕陽のメールを知らせる着信音。

「…ゴメン、春人先帰って」



『今夜、静が夕陽と一緒に食事したいって言うから、学校終わる頃に迎えにいく 圭吾』

それを読み終わる頃には大粒の涙が流れ落ちていた。

「…夕陽?!」

…なんで、こうなるんでしょう?



春人は夕陽を抱き締めていた。


ぎゅっとされて、ハッとした夕陽は、春人を押し退ける。

「…ゴメン、なんでもない、驚かせたよね」
「…何でもないのに泣くヤツいねぇだろ?それ貸せ」

夕陽の手にある携帯を奪い取り、それに目を通した春人は、夕陽を見た。


「…やっぱ、好きなんだろ、お義兄さんのこと」