イケメン兄の甘い毒にやられてます

…圭吾の部屋で寝るなんて。

携帯を置いて、ため息をつく。

でも、ダメ元で、圭吾の部屋に行ってみる。

「…ん?」

ベッドの布団が何やら盛り上がっていて、ゆっくりと近づいて、布団をめくってみた。

「…くまくんだ」

くまくんとは。それは、夕陽の部屋に沢山置かれた大好きなキャラクター。くまのぬいぐるみ。

夕陽はそれを手に取ると、ぎゅっと抱き締めた。

「…くまくんと、寝ろってこと?」

圭吾の代わりがくまくん。

あまりにミスマッチで、可笑しくなってクスクス笑う夕陽。

でも、圭吾の気遣いが嬉しくて、言われた通り、くまくんと一緒に圭吾のベッドに潜り込む。

どうやってもくまくんは圭吾にはなれないけれど、布団は圭吾の匂いがする。

あんなに眠れなかったのが嘘のように、夕陽は間もなく、深い眠りに落ちていった。

…次の日。

熟睡出来た夕陽は、清々しい朝を迎えた。

いつも通りの朝の身支度。

でも、一つ違うとすれば、登校時間。足は痛く、早くは歩けそうにない。

駅まで歩くのも一苦労。

「…よし、行くか」

意を決したようにそう言って、夕陽はドアを開けた。

「…春人」
「…迎えに来た」