イケメン兄の甘い毒にやられてます

雷が鳴る度に、ビクつく体。

そんな夕陽の体を圭吾はしっかりと抱き締める。

怖いのにドキドキする。

夕陽の心境は複雑だ。

「…夕陽」
「…何ですか?」

「…まだ怖い?」
「…うん」

「…夕陽って、怖がりなんだな」
「…ママは知りませんけどね」

夕陽の言葉に、圭吾は驚く。こんなに体を震わせるほどの怖がりなのに、朝陽が知らないはずかないじゃないかと思わずにいられない。

「…嘘だろ?」
「…ママにとってはしっかりものの、強い娘で通ってます」

「…」
「…ママには秘密にしててくださいよ」

「…俺には本当の夕陽を見せてくれるんだね」

圭吾は嬉しくなってそう言った。

「…どうして圭吾さんには見せれるんでしょう」

…会って間もない間柄なのに。

「…夕陽は、俺の事が好きなんだね」
「…なっ?!その逆ですよ!」

「…キライなの?」
「…ひゃっ!!ダメ!放さないで」

雷が鳴ると同時に離されて、夕陽は頭を抱え込む。

もう、最悪だ。怖すぎて、夕陽は泣き出してしまって、圭吾は慌てて抱き締める。

「…ゴメン、泣くなよ」
「…うー」

「…ゴメン、夕陽」

泣かすつもりなんてなかったのに、泣かれてしまって圭吾はどうしていいものかと思い、とにかくいつまでも抱き締めていた。


…しばらくして、夕陽の泣き声がおさまった。


「…寝てる」

泣きつかれて寝てしまった夕陽。圭吾は力か抜けて、思わずプッと笑ってしまった。

「…おやすみ、夕陽」

そんな夕陽のおでこに、優しくキスを落とすと、圭吾もそのまま眠りについた。