「…出来たら呼びますから、キッチンから出ててください」

「…一緒にいたいんだけど」

「…ダメです」

「…どうしても?」
「…どうしても」

夕陽の言葉に、圭吾は観念したようにちょっとシュンとして、キッチンを出ていった。

シュンとした圭吾の顔がなんだかカワイイと思った夕陽は、料理をしながら、クスクス笑った。

「…圭吾さん、夕食出来ましたよ」

ドアをノックしてから夕陽が言った。

間もなくしてドアが開かれ圭吾が出てきた。

「…ありがとういただくよ…夕陽?どうした?」

そう言って首をかしげる圭吾。

夕陽は、圭吾の顔を見つめたまま固まっている。

「…夕陽?」
「…え、ごめんなさい、食べましょ、食べましょ」

ハッとした夕陽はクルリと体を反転させ、ダイニングに向かう。

ドキドキしてしかたがない…その理由。

仕事をしていたのか、それとも本でも読んでいたのか?

メガネ男子の圭吾がメチャクチャかっこよくて、言葉を失っていたのだ。

「…いただきます」
「…いただきます」

二人で食べ始めるも、夕陽は目のやり場に困る。圭吾を直視できない。

「…夕陽、さっきから何か変だぞ、どうした?」
「…気のせいです」

「…じゃあ、なんで、こっち見ないの?」
「…食事中はいつもこうです」

…相変わらず、圭吾を見ない夕陽。

…結局、会話もほとんどなく、夕食は終わった。