イケメン兄の甘い毒にやられてます

この日を境に、夕陽と優は、同じシフトになっても、業務内容以外に話をすることはなく、それでも、なんとか謝りたい夕陽は、先に仕事が終わったのを良いことに、遅出の優をずっと外で待ち続けた。

「…くしゅん」

…外は雨。そのせいか、肌寒い。

それでも夕陽は待ち続けた。

「…」

そこへ、仕事を終えた優が、院内から出てきた。

外は真っ暗。雨も降り肌寒い。そんな中、ピンクの花柄の傘が目に留まった優は、思わず立ち止まった。

夕陽だって気づいたからだ。

でも、優は夕陽から視線をそらすと、足早に通りすぎていく。

その足音に気づいた夕陽が大声で呼んだ。

「…優くん!」
「…」

何度呼ばれても、優は足を止めない。

「…優くん、ごめんなさい!お願いだから話を聞いて!許してくれなくてもいい。話だけで、も…」

…ドサッ。

夕陽の声が途切れたと同時に、物音が聞こえて、優は振り返った。

「…夕陽!!!」

路上に夕陽が倒れていた。

優は慌てて駆け寄って、夕陽を抱き起こす。

「…夕陽!熱が」
「…優くん…ごめ、ね…ごめ、ね」

気を失ってるのに、何度も何度も、うわ言のように夕陽は優に謝っていた。