イケメン兄の甘い毒にやられてます

「…いや、聞かない。聞きたくない。言わせない」

絞り出すような声でそう言った優は、夕陽の腕を引っ張ると、無理やり夕陽の唇を。

「…ャッ!」

…ブチュ。

このあり得ない状況に、夕陽も、優も、固まるしかない。

え?何で固まるかって?

優は確かにキスをした。唇を奪った。

だがしかし、それは、夕陽の唇を奪ったのではなかった。

相手と目があった優はハッとして、突き飛ばす。

「…何で」

優の言葉に、相手がため息をついた。

「…間一髪とは、この事ですね…大丈夫、夕陽?」
「…けい、ごさん」

そう、優が唇を奪ったのは、圭吾だった。

探し回っていた圭吾が、言いあいする二人を見つけて駆けつけたと同時に、嫌がる夕陽の間に割ってはいった圭吾が振り向き様に、優とキスをした…というわけ。

「…つくづく邪魔しますね、神藤先生」
「…当たり前じゃないですか、夕陽は俺の大事な人だと言ったでしょう?」

「…夕陽」

圭吾の後ろにいる夕陽に、声をかけた優。

夕陽は困った顔をしつつ、圭吾の後ろから、顔だけを出した。

「…優くん」
「…もう、友達じゃいられないね…ごめんな、勝手に大事な関係壊して」

「…ぁ、優くん!」
「…ダメだよ」

追いかけようとした夕陽を、圭吾が止めた。驚いた夕陽が、圭吾を見上げる。

「…優くんの気持ちも考えてあげないと。きっと、今は、独りになりたいんじゃないかな?それとも、俺じゃなく、優くんを選ぶ?それなら止めないよ」

「…ぅ…ぐす…圭吾さん、以外…考えられないよ…でも、優くんは、友達なんだも…」

苦しくなった夕陽が泣き出せば、圭吾は優しく抱き締めるしかなかった。