俺の腕を掴んだ状態で俺を見上げる智代子。

「放せよ。」

ぶっきらぼうに吐き捨てても智代子は動じない。

「だって……辛そうなんだもん!
真くんにはあってないよ、菜々ちゃん」

切なそうな顔をする智代子。
この様子からすると、俺のために言ってくれてるのだろう。

「うるせぇよ。」

腕を振り払うと智代子を睨む。
器が小さすぎる。
智代子は俺のために言ってくれているのに。


「合ってるとか合ってないとか、どうでもいいし。俺はあいつが好きなんだよ。」


好きだから付き合ってる…。
でもあいつは全然焼かない。


こんなに好きなのに。


独占したいのに。


俺のことウサギはほんとに好きなのか?

俺は暗い気持ちのまま帰宅したのだった