「忍に戻るなら、戻ってこい」


今まで何してた?とか、ないわけ?



「誤解があると嫌だから、先に言っておく
俺は、こちらの生まれで
慶喜に未練があるとか
追いかけて来たとかじゃない」



「……」



断ると、察したらしく
黙って聞いてくれる



「忍って、変わった仕事だと思う
常識とか、何が当たり前とか
あんまり考えたことなくて
忍だから、こーする、あーするって
考えなくても体に染みついてた」


慶喜の顔を見る




「慶喜が敵に囲まれて、危ない時
俺は、必ず盾になった
でも、今の仲間は、怒るんだ
主も、俺が怪我したら、嫌なんだって」


「女だと知っているのか?」


「知ってるのは、主だけ」


「そうか 仲間に恵まれたのだな」


「うん」


「日に焼けたな」


「本当?」



ずっと、日の当たらない暮らしをしていたから、光の下にいるという証

それが嬉しい


「戻ろう」

「うん」