かっちゃんがこちらに気がつき
満面に笑み

山崎が綺麗なお姫様になっているからな


つーか、2人して全然隠さなくなったな…


肥田さんに挨拶をする前に

山崎を抱きしめていた


「コホンッ なるほど仲のよろしいことで」


肥田さんも目のやり場に困っていた



かっちゃんも怪我が治ってないから
山崎を支えられないみたいだ


スッと山崎の手をとると


優雅に振る舞っている癖に
立っているのが、やっとらしい


「あれ、登れます?」


山崎の視線の先は、マスト?のてっぺん



「今も高い所がお好きなのですね
ご存知ですか?姫様、空姫って
呼ばれていたんですよ?」


「空?」


「いつも見てたでしょ?」


「あぁ 明るいなって見てたんです
最近は、青空のような羽織に守られて
太陽のような方がそばにいますので
見るの忘れていました!」


かっちゃんと山崎が微笑み合った


のろけかよ!!!



「お幸せそうですね」


「ええ」


「怪我は… そんなに悪いのですか?
先ほど……」


言い掛けて、かっちゃんをチラリ

かっちゃんの前で言わないでくれて助かる


「見ての通りですよ」



見てわからねぇから聞いたんだっつーの!



「山崎!!すげっ!綺麗だな!」


「さすが女!」


永倉と原田が、合流して
山崎を褒めた


「ありがとうございます」


「なんだよ!余所余所しい!」


ギロッと、睨むと肥田さんに気づいた


「山崎?」

「山崎烝 私の本当の名前です」


「空じゃなくて良かった」


「クスッ そうですね」


「慶喜様が仰ってましたよ
何を贈っても喜びもしない姫だったが
異国文化の事と新選組の事だけは
喜んでいたって
戦が始まってからこの船、わざわざ九州から呼び寄せたんです」


「そうだったんですか
覚えてくれてたんですね
私の異国好きを」


「船の戦法もお詳しいとか?」


「お喋りですね…慶喜様ったら」


「御指南下さいますか?」


「指南するほどではありませんよ
異国で学ばれた肥田さんに
私が御指南頂きたいくらいです」


「とんでもない!
さぁ 皆さん乗船して下さい!」


「私達は、最後に乗ります」


「わかりました」





元気な奴らをもう一つの船に乗せ
永倉 原田 斎藤に任せた


怪我人は、富士山に乗ることにする


あとは、俺達だけになると
尾形がやってきた



「似合ってる」

「おおきに」


「間者は、いなさそうだ
人が入れそうな大きな箱も全て確認した」


「顔に包帯巻いてる奴は?」


「確認した」


「尾形、一緒に乗って」


「わかった」


俺の手を離して、尾形に支えて貰う



「疲れたやろ?」



こんな時でも、仕事をして
俺を気遣うなんて…



「ばぁーか、小さい奴くらい軽いつーの!」


「小さいって、言うな!!!」




山崎? 




この船を途中で降りるって


どういう意味だ?





「どう見ても、小せぇから
な!? かっちゃん!?」



「ん?烝は、大きくなりたいのか?」



「しらん!!」




撃たれたときより

寝込んでいたときより



お前… 元気じゃねぇか…