私の二人の神様へ






「馬鹿!た、大変。早く上がって!えっと、はんてんどこだったけ!?」



 私はバタバタ衣装ケースをひっくり返し、はんてんをこたつに蹲っている榊田君に着せた。


 またその上から、今度は頭ごと布団をかけると、重い、とはがされた。


 そのまま布団を枕代わりに寝転がるから、布団の端と端を摘み上げ、簀巻きにした。


 彼は、もぞもぞと布団から顔を出す。



「お前、命の恩人を殺そうとするとは良い度胸してるじゃねぇか」



 幾分、顔色が良くなったが、身震いしながら榊田君は唸った。



「だ、だって、帰ったと思ったんだもん!普通、ここまでする!?あっ!温かい飲み物持ってくる!待ってて!」



 ホットミルクが良いだろうか?


 いや、ケトルにお湯が入ってるからとりあえずお茶を出そう。


 少しでも早く温かくなる物を、と慌てて立ち上がろうとすると、氷のような冷たい手が私の手首を掴んで阻んだ。



「仁の言うことを聞いた俺が馬鹿だった」



 彼は独り言のようにぼそりと言った。



「え?」



「仁に何か言われて、俺を避けてるんだろ?だから、あいつに電話したんだ」



 仁くんと会った翌日から私の態度が変われば、仁くんに原因があると思うのは当然だろう。



「そしたら『少しぐらい待ってやれ。もしかしたら、お前の良いように話が動くかもしれないぞ』って、あの性悪かつインチキ疫病神はほざいた」



 なるほど、榊田君が黙って私をほっといてくれたのは、仁くんのおかげか。



「あんなペテン師疫病神の言葉を真に受けたのが間違いだった。どう考えても俺の良いほうに転ぶとは思えない」



 掴まれた右腕がひどく痛んだ。