私の二人の神様へ






「…………」



「…………」



「俺が脅されるなんておかしいだろ?それで小宮山は自分の仕出かしたことに気づき、言葉が出なくなったようだった」



 それは、たぶん榊田君の物言いに言葉がなかっただけだ。


 今の私たちのように。



「俺は仏心を出して罪の償いの提示をしてやった」



「……どんな?」



「発表の準備は全部小宮山がやることと、バウムクーヘンを全て俺に譲渡することだ」



「バラされたくなかったらって要求を飲め、って榊田君が脅したわけね」



「俺は被害者だぞ。危うく襲われかけたんだ」



 私と朔ちゃんは長く深いため息を吐いた。


 きっと思っていることは一緒だろう。


 紗希さんが哀れだと。



「あんた、どうして紗希の家に言ったの?あんたのこと狙ってるの知ってたんでしょ?」



「グルグル屋のバウムクーヘンがあるって言ったからだ。虎穴に入らずんば、虎子を得ずだ。まさか、あんな馬鹿げた策に出てくるとは思わなかったがな」



 え?


 それじゃ、あのお土産はもしかしなくても。 



「グルグル屋!?榊田君、それ本当!?」



 私はテーブルから身を乗り出すと、榊田君はこっくり頷いた。


 グルグル屋とは全国のデパ地下などにある、一つ三千円もする高級バウムクーヘンのお店。


 実家に帰った時にお父さんが買ってきてくれて、一口でそのおいしさの虜になったのだ。



「お前が大層褒めるから一度は食べてみたいと思っていたが学生の身分では手が出ない。そしたら、小宮山の家にあるって言うから行ったんだ」



 まさかバウムクーヘンにつられて、誘いに乗ったとは紗希さんも夢にも思わなかっただろう。


 一人で出向いたのも、取り分を減らさないためだと予想がつく。