「……う~どうしよう。い、いや、私は断じてイヤなわけでは……痛いっ!」



 首をぶんぶん振っていたら今度は頭を鏡に打ちつけた。



「う~。な、何でこうなるのぉ~?」



 こんなことばかりやっていたら、明日には痣だらけになりかねない。


 そうだ!


 明日のことは明日考えるとして、今日のところは休もう!


 何という名案!


 無心が一番だ!



「無心、無心、無心……」



 そう唱えながらも、明日に備え念入りに身体を洗い、二時間お風呂に入り続け、のぼせ上がって夜は更けていった。



















 翌朝、ふらふらっと八時少し過ぎに目を覚ます。


 朝食を手早く済ませ、お風呂に向かった。


 昨日のぼせ上がってお風呂はこりごりだが、そうも言っていられない。


 夜のことは夜に考えれば良いのだ。


 まだ朝なのだから無心で問題なし!


 でも、まぁ。


 一応お風呂ぐらいは。



「無心、無心、無心……」



 無心と唱えることに一生懸命で気が付いた時にはスポンジで何度もこすったせいで、身体が赤くなっていた。



「う~。もう最悪~」



 慌ててお風呂から出てクリームを身体に塗りたくる。


 無心の呪文は私の身体を蝕むだけのようだ。


 もう役立たずな呪文を唱えるのはよそうと服を身につけよとしたところで、重大なことに気づいた。


 そう、まともな下着がないことに。


 どれだけ漁ってもない。


 そりゃ、持っていないのだから漁ったってあるわけがない。


 そう、つまりは。


 ロクなものがない!!


 もしや、昨日榊田君が途中でやめたのは……


 あまりにダサい下着だったから!?