私の二人の神様へ




「何で、あいつがダメだって言ったからって、小春が従うんだ?」



「榊田君の怒りを買うようなマネしたくないもん。せっかく、約束したのにごめんなさい」



「嫌だ。約束は守るものだと小春には小さい頃から教えてきたと思うが?」



 確かに、教わった。


 仁くんに何でも相談するとか、嘘は吐かないとか、あいさつはしっかり笑顔でとか、自分で頑張ったって言わないとか。


 仁くんの言うことはしっかり何でも覚えて、実践してきた。


 仁くんは、頑張ったなんて他人が評価することで自分で言うことじゃない。


 そう言ったけど、榊田君は頑張ったなら頑張ったって言って良いと言った。


 私がズタズタに傷ついている時の榊田君のその言葉はずっと私の中に鮮明に残っている。


 だから、今では言って良いのかもと思ってる。


 それでも、自分で言って恥ずかしくないほどの努力をした時だけの言葉で、それに値するのは自分を変えようと努力した時ぐらい。


 とにかく、あの時、榊田君に救われたし、今でも彼は私にはなくてはならない存在。


 失えない存在。



「そうだけど。榊田君の嫌がることはしたくない」



 私の無神経さに呆れ、軽蔑しながらも、傍にいてくれた榊田君。


 榊田君の優しさに少しくらい報いたい。



「榊田が許可すれば良いんだな。なら、俺から言っておく。明日、仕事が終わったら連絡するな」



 仁くんは勝手に決めて、私の頭にぽんぽんと手を置いた。



「ちょ、ちょっと!!そんなことしたら、榊田君の機嫌を余計損ねることになる!」



 ここで私が仁くんに仲直りを頼んだら、それこそ破局の危機にさえなりかねない。


 ますます軽蔑されること確実だ。