「ねえセンパイ、どれ乗る?」



「…好きなの乗っておいでよ。あたしそこのカフェはいってる」




秋本に背中を向けようとすると、それを防ぐように腕をつかまれる。




「だめだよ、センパイ。デートだもん」




そういった秋本は、どこか不敵な笑みを浮かべた。




……なんか、いやな予感がする。




「センパイ、好きなの乗っておいでよって言ったよね?」




「…言ってない」




「いや、言ったね。だから一番楽しい乗り物に乗りに行こうか!」




「あたし帰る!」




「だめー。センパイと約束したんだもん」




珍しく真剣な瞳をしている秋本と目が合い、あたしはつい一瞬気が緩んでしまったらしい。




グイッ




「ちょっと!!」




あたしはそのまま目的地まで走って連れていかれる。