「…何が言いたいの?」

「……正直に答えて。沙弥は…俺の事好き?俺…もう沙弥の考えてることが分からない」



そういうと、沙弥の表情は曇り、下を向いてしまった。



やっぱり…俺らはもうだめなの?



「…こっちのセリフ」

「…は?」

「あんたにとってあたしってなんなの?ただの先輩?幼なじみ?あたしは…あたしは…!あんたのことずっと信じてたのに…!」


俯いている沙弥の表情はわからない。でも…


きっと、泣いている。


「……あんたなんか…!一生光莉さんとラブラブしとけバカ!!大っ嫌い!!!」



沙弥はドンッと俺を突き飛ばし、走って帰ってしまった。



「……クソッ」


ケンカがしたかったわけじゃない。怒らせるつもりだってなかった。

去年の夏、 “ もう泣かせない ” って決めたのに。


はじめて、泣かせるまでケンカした。

高2になって、沙弥と離れて、自立して成長したつもりだったのに…


些細なことで沙弥を疑い、傷つけた5分前の自分を殴りたい。


「クソ…クソッ!!」