素直になるのはキミにだけ

「よし、わかった。春風んとこの親御さんには今度お礼しに行くって言っといてくれ」


「はい。あ、でもタクシーだけ手配してもらえますか?」

「あぁ、了解…」



よし、あとはタクシーを待つだけ……

コンビニで軽食でも買おうと、振り向いた時だった。



「はいはーい、タクシー手配ちょっと待った!!俺らが車だすよ」



あたしの前に現れた、ユニフォーム姿の大学生数名……


「「「「「「…っああ!!!蒼士パイセン!!!!」」」」」」



その場の部員の声がぴったりと重なった瞬間だった。



「よっす!沙弥ちゃんだけにかっこいいことさせてられねえ!!車くらい俺が出す!」


「三上センパイ……ほんとにいいんですか?」


「もちのろんろん。自分が世話になったバスケ部の後輩のこと放っておけねえし、第一センセー、タクシー代払う余裕あんの?」


「ギクッ」



あぁ、ないんだ……公務員のくせに。