9月に入って最初の土曜日は、雨。
早朝から弱い雨が降り続き、今朝のテラス席は休業。
時間通りに来店した小野崎さんは、雨の日の定位置であるカウンターの右端に座り、ボンヤリと窓の外を眺めている。
『お待たせしました』
いつも通りモーニングを運ぶと、何か考え事でもしてるのか、ジッと窓の外を見続けて返事がない。
邪魔をしてはいけないと、そっとトレイをカウンターに置き、静かに立ち去ろうとすると、『雨…よく降るな』と、独り言のようにつぶやく声がした。
『お疲れ…ですか?』
なんとなく、いつもと様子が違う気がして、相槌ではない問いかけをしてしまった。
よく考えたら、私の方から店員としてではなく、声かけたのは、初めてかもしれない。
振り向いた小野崎さんも、少し驚いたような顔をしている。
『今日はそんなに疲れているわけじゃないけど…どうして?』
『いえ何となく、いつもと様子が…』
目の前では、なぜか急に嬉しそうな様子の小野崎さん。
思わず、怪訝な顔で聞いてしまう。
『何ですか?』
『別に』
『にやついてますよ?』
『そうかな?』
『?』
『…いや、エリにそんな風に気にかけてもらえてるのも、悪くないな…ってね?』
『!』
自分の顔がみるみる赤くなるのがわかる。
早朝から弱い雨が降り続き、今朝のテラス席は休業。
時間通りに来店した小野崎さんは、雨の日の定位置であるカウンターの右端に座り、ボンヤリと窓の外を眺めている。
『お待たせしました』
いつも通りモーニングを運ぶと、何か考え事でもしてるのか、ジッと窓の外を見続けて返事がない。
邪魔をしてはいけないと、そっとトレイをカウンターに置き、静かに立ち去ろうとすると、『雨…よく降るな』と、独り言のようにつぶやく声がした。
『お疲れ…ですか?』
なんとなく、いつもと様子が違う気がして、相槌ではない問いかけをしてしまった。
よく考えたら、私の方から店員としてではなく、声かけたのは、初めてかもしれない。
振り向いた小野崎さんも、少し驚いたような顔をしている。
『今日はそんなに疲れているわけじゃないけど…どうして?』
『いえ何となく、いつもと様子が…』
目の前では、なぜか急に嬉しそうな様子の小野崎さん。
思わず、怪訝な顔で聞いてしまう。
『何ですか?』
『別に』
『にやついてますよ?』
『そうかな?』
『?』
『…いや、エリにそんな風に気にかけてもらえてるのも、悪くないな…ってね?』
『!』
自分の顔がみるみる赤くなるのがわかる。