『…お仕事の方は?』
『さっきまで自宅でね。時間的に自由が利くのもフリーの特権かな』
『なるほど』
『体調は…大丈夫そうだね』
『おかげさまで』
『そういえば、熱出したの久しぶりなんだって?渚さんから聞いたよ』
『4~5年ぶりです』
『それはまた、凄いな』
『私、健康優良児ですから』
『それ、大人の女性には使わないでしょ』
笑う小野崎さんの隣で、何となく、ほっとしていた。
こんな風に、自分の気持ちを自覚してしまったら、会った時に普通に話せないような気がしていたから。
大丈夫。
これくらいの歳になると、いつの間にかこういった局面でも、自分の感情を悟られることなく、ごく自然に振舞える術を習得してる。
運転席の小野崎さんをちらりと見ると、今日は紺地のTシャツにジーンズ。
前回していた眼鏡をかけていないところを見ると、今日はコンタクトなのだろう。
この前よりラフな感じで、実年齢より若く見え、より身近に感じてしまう。
『ん?』
視線を感じたのか運転席の小野崎さんと目が合い、慌てて前を向くと、ダッシュボードの上に無造作に置かれたハガキを見つけ、誤魔化すように話かけた。
『あ、コレ、結婚式の招待状ですか?』
『ああ、うん…まあね』
『最近多いですよね。私も来月早々大学の友人のがあって、もう今年3回目です』
『俺も今年4回行ったかな?おめでたいことだけど、自分の懐は痛いね』
『確かに。ご祝儀貧乏になりそうです』
大通りの信号が赤になり、左折のウインカーが点滅し、ゆっくり停止。
道行く車を見ながら、会話が途切れるのを避けるために、もう少し掘り下げて聞いてしまう。
『さっきまで自宅でね。時間的に自由が利くのもフリーの特権かな』
『なるほど』
『体調は…大丈夫そうだね』
『おかげさまで』
『そういえば、熱出したの久しぶりなんだって?渚さんから聞いたよ』
『4~5年ぶりです』
『それはまた、凄いな』
『私、健康優良児ですから』
『それ、大人の女性には使わないでしょ』
笑う小野崎さんの隣で、何となく、ほっとしていた。
こんな風に、自分の気持ちを自覚してしまったら、会った時に普通に話せないような気がしていたから。
大丈夫。
これくらいの歳になると、いつの間にかこういった局面でも、自分の感情を悟られることなく、ごく自然に振舞える術を習得してる。
運転席の小野崎さんをちらりと見ると、今日は紺地のTシャツにジーンズ。
前回していた眼鏡をかけていないところを見ると、今日はコンタクトなのだろう。
この前よりラフな感じで、実年齢より若く見え、より身近に感じてしまう。
『ん?』
視線を感じたのか運転席の小野崎さんと目が合い、慌てて前を向くと、ダッシュボードの上に無造作に置かれたハガキを見つけ、誤魔化すように話かけた。
『あ、コレ、結婚式の招待状ですか?』
『ああ、うん…まあね』
『最近多いですよね。私も来月早々大学の友人のがあって、もう今年3回目です』
『俺も今年4回行ったかな?おめでたいことだけど、自分の懐は痛いね』
『確かに。ご祝儀貧乏になりそうです』
大通りの信号が赤になり、左折のウインカーが点滅し、ゆっくり停止。
道行く車を見ながら、会話が途切れるのを避けるために、もう少し掘り下げて聞いてしまう。



