三日ぶりのカフェは、オーナーの配慮で、早朝のオープンからではなく9時からのシフトに変更。

今朝は、自分の気持ちを自覚してから初めて小野崎さんに会うことになり、少し怖かったので、ちょうど良かったのかもしれない。

身体的にも二日間ゆっくり休ませてもらったおかげで、多少鈍っていたものの、日中フロアで身体を動かせば、いつもの調子が戻ってくる。

『あ、江梨子さん、今日から復活ですね』

午後の遅番で、アルバイトの咲ちゃんが私を見つけ、話しかけてくれる。

『急に休んじゃって、ごめんね』
『全然大丈夫です、それより体調はどうですか?』
『もう、バッチリ』
『それは良かったです』

渚ちゃん同様、スラリとした細身の長身と、サラッとしたショートカットがさわやかな印象を与える咲ちゃんは、今年大学卒業予定の21歳。

去年の就活で、この近くの企業を廻っている際に、偶然立ち寄ったこのお店とオーナーの人柄に強く惹かれたらしく、将来自分もこんなお店を持ちたいと、何度も来店して渚ちゃんに直談判。

その甲斐あって今は、きちんと大学を卒業することを条件にアルバイトに採用され、卒業後はこの店に腰を据えて、お店の経営なんかを学ぶことになっている。