店内には、読書や会話を邪魔しない程度の、ハワイアンミュージックが小さく流れ、木製の太い梁のある高めの天井には、小さめのシーリングファンがいくつか回って、店内の室温調整と、入れたての香ばしいコーヒーの香りを、柔らかくかき混ぜて、拡散してくれている。

足元の床はこげ茶のフローリング。

周りの壁は一部コンクリートの打ちっぱなしの部分も生かしつつ、床と同系色の本棚やラックを造りつけて、温かみのある空間を造り上げられていた。

そしてこのお店一番の人気席があるテラスは、店内奥にあり、このビルと、裏のビルの隙間にあったスペースを、有効に活用。

周りを木製の塀で囲み、周囲にはアンティークレンガでセンスの良いハーブ菜園が作られ、残りの空間にガーデンテーブル席が3席、設けられている。

天気の良い日など、テラスからの採光もたくさん入り、ビルの1階とは思えないほど、店内を明るくしてくれていた。

渚ちゃんが、そのテラス席からカウンターの内側に戻ってくると、『あ、そうそう』と、思い立ったように、裏から、何やら持ってくる。

『これ、後で、皆で食べよう』

手に持っているものを見ると、どうやら、旅先のお土産らしい。