『悪いね。彼女、間に合ってるから、別の子、当たってくれる?』
『えっ』
唐突に真後ろから声がして、次の瞬間あいていた右手を取られて、『行くよ』と強引に歩き出す。
抵抗する間もなく引っ張られ、気になって後ろを振り返ると、ポカンとして立ち尽くすオシャレ女子達。
何が起こっているのか、理解するまでだいぶ時間がかかった。
駅前の雑踏の中を、揺るぎない足取りで自分の手を引き歩く、この背の高い男性は、一体何者なの?
薄いグリーンのポロシャツにベージュ系のチノパン。
後姿からしか見えないけれど、黒いフレームの眼鏡をかけているようだった。
『ちょ、ちょっと…』
『何?』
『て!手、放して下さいっ!』
『あぁ、ごめん』
暫くして、やっと立ち止まってくれた男性が、繋いでいた手を離して、振り返る。
一瞬、どこかで見たような気がするけれど、やっぱり知らない顔だった。
整った顔立ちが、少し韓流スターに似ているようにも見えたけれど、イケメンだからって、許されることじゃない。
『何ですか?いきなり、人の手を引っ張って。警察呼びますよ?』
『警察って…』
『だって、あなたのしたことって、痴漢行為でしょ?』
『いやいや、待ってよ、エリ!確かにいきなり手に触れたのは悪かったけど、そんな…』
『なっ…なんで、私の名前…』
途端に、心臓が跳ね上がった。
容姿はともかく、この声には聴き覚えがあったから。
ここ最近、毎朝のように聴く、この低く甘い声音。
『えっ』
唐突に真後ろから声がして、次の瞬間あいていた右手を取られて、『行くよ』と強引に歩き出す。
抵抗する間もなく引っ張られ、気になって後ろを振り返ると、ポカンとして立ち尽くすオシャレ女子達。
何が起こっているのか、理解するまでだいぶ時間がかかった。
駅前の雑踏の中を、揺るぎない足取りで自分の手を引き歩く、この背の高い男性は、一体何者なの?
薄いグリーンのポロシャツにベージュ系のチノパン。
後姿からしか見えないけれど、黒いフレームの眼鏡をかけているようだった。
『ちょ、ちょっと…』
『何?』
『て!手、放して下さいっ!』
『あぁ、ごめん』
暫くして、やっと立ち止まってくれた男性が、繋いでいた手を離して、振り返る。
一瞬、どこかで見たような気がするけれど、やっぱり知らない顔だった。
整った顔立ちが、少し韓流スターに似ているようにも見えたけれど、イケメンだからって、許されることじゃない。
『何ですか?いきなり、人の手を引っ張って。警察呼びますよ?』
『警察って…』
『だって、あなたのしたことって、痴漢行為でしょ?』
『いやいや、待ってよ、エリ!確かにいきなり手に触れたのは悪かったけど、そんな…』
『なっ…なんで、私の名前…』
途端に、心臓が跳ね上がった。
容姿はともかく、この声には聴き覚えがあったから。
ここ最近、毎朝のように聴く、この低く甘い声音。



