明日、君を好きになる

『突然すみません。あ、宗教の勧誘とかじゃないですよ』

一瞬、彼女たちが言うように、その手の勧誘かと身構えたけれど、察した二人が慌てて否定し、その代り一人が後ろのポスターを指さして、早口で要件を説明し始める。

『もし良かったら、それ、一緒に参加しませんか?』
『は?』
『実は、一緒に行く子が急に一人行かれなくなっちゃって…、一応、男女の人数合わせているみたいで、出来るだけ代理を立てるように言われてるんですけど、なかなか見つからなくって…』
『いや、でも、婚活とか私、興味ないんで…』
『もしかして、もう結婚考えてる彼氏とか、いるの?』
『…それは…えっと、いないけど…』

こんな時まで、真面目な性格が仇になり、正直に答えてしまう。

彼女たちは、ラッキーとばかりに、『じゃ、軽い気持ちで行ってみようよ?ね?あ、お金はもう支払っているので、いらないし』と、先をあおる。

本当のことをいうと、少しだけ興味もあった。

こんな機会でもなければ、自ら婚活などすることはないだろうとも思う。

現金なことに、無料というのも非常に魅力的ではある。

私は心の中で、“これは人助けなのよ”と、自分に言い訳をしながら…

『あの…じゃぁ、会場まで』

“行くだけ行ってみようかな?”と続ける途中で、不意に後ろから肩を掴まれ、後ろに一歩引かれると、誰かの胸元に背が当たった。