明日、君を好きになる



役所を辞めて、半年。

休日は、最初の方こそ、幾つかの“中途採用セミナー”に行ったものの、なんだかんだ自分に言い訳をしては、ここ最近はダラダラ過ごしてしまっていた。

小野崎さんの出現は、いいタイミングだったのかもしれない。

この不安定な現状で、謎の男に振り回されるなど、この生活に甘えていた自分の目を覚ます、いい機会だったと思う。

時間が無いと言いながら、先を考えたら不安だらけで、現実から逃げていた自分。

貯金があると言っても、当然限度もあり、いい加減次に進むための行動を起こさなければいけない時期には違いなかった。

先ずは、今住んでいるアパートの引っ越しを考えるべく、今日は不動産巡り。

安定した収入があった時に、それに見合った額の部屋を借りていたけれど、収入が激減した今、同じ部屋に住み続けるのは、実のところかなり厳しかった。

駅前の、不動産をいくつか回るも、なかなかいい物件には当たらない。

まだ日は高く、日陰に入っても、ジリジリと照り付ける歩道のアスファルトから熱が上がってくようだった。

8月も後半に差し掛かり、季節は残暑へ移り替わっているというのに、一向に暑さが和らぐ気配がない。