★
チリンチリン…
午前6時7分。
入口のベルの音が鳴る。
『おはようございます』
『おはよう、エリ。いつものよろしく』
あの日からも変わらず、彼(小野崎さん)は同じ時刻にやってきて、同じように過ごしていく。
意外だったのは、思っていたより、彼が紳士的だったこと。
もっと、軽い感じの人だと思っていたのだけれど、あの日のように私を呼び止めて、根掘り葉掘り聞いたりなど、全くしない。
…ただ、やっぱり宣言通り、私を名前で呼ぶことと、なぜか毎朝、モーニングセットを持って行った際、必ず一つだけ質問をしてくるのが、新しい日課になっていた。
『エリ、好きな色ってある?』
『一番好きな食べ物って何かな?』
『エリは、ペット飼ってるの?』
『エリって、友達になんて呼ばれてる?』
正直、毎度されるその質問の意図はさっぱりわからない。
その上、その答えから会話を膨らませるつもりはないらしく、大抵は私の答えに、『なるほど』とか『そうなんだ』と、うなずくだけ。
最初は、何を考えているのか分からず、いちいち身構えていたけれど、よく考えてみたら、バーで仕事をしているくらいだから、毎日のように、綺麗な大人の女性に囲まれているはず。
だからきっと、私のような普通の女が珍しくて、少しからかわれているだけなのだと、理解することにして、実際大した質問もされないので、出された質問には、その都度正直に答えていた。
チリンチリン…
午前6時7分。
入口のベルの音が鳴る。
『おはようございます』
『おはよう、エリ。いつものよろしく』
あの日からも変わらず、彼(小野崎さん)は同じ時刻にやってきて、同じように過ごしていく。
意外だったのは、思っていたより、彼が紳士的だったこと。
もっと、軽い感じの人だと思っていたのだけれど、あの日のように私を呼び止めて、根掘り葉掘り聞いたりなど、全くしない。
…ただ、やっぱり宣言通り、私を名前で呼ぶことと、なぜか毎朝、モーニングセットを持って行った際、必ず一つだけ質問をしてくるのが、新しい日課になっていた。
『エリ、好きな色ってある?』
『一番好きな食べ物って何かな?』
『エリは、ペット飼ってるの?』
『エリって、友達になんて呼ばれてる?』
正直、毎度されるその質問の意図はさっぱりわからない。
その上、その答えから会話を膨らませるつもりはないらしく、大抵は私の答えに、『なるほど』とか『そうなんだ』と、うなずくだけ。
最初は、何を考えているのか分からず、いちいち身構えていたけれど、よく考えてみたら、バーで仕事をしているくらいだから、毎日のように、綺麗な大人の女性に囲まれているはず。
だからきっと、私のような普通の女が珍しくて、少しからかわれているだけなのだと、理解することにして、実際大した質問もされないので、出された質問には、その都度正直に答えていた。



