明日、君を好きになる

手袋をするタイミングを逃し、夜風にさらされているはずの右手は、温かなぬくもりに包まれる。

緊張からか、寒いはずなのに、なぜだか寒さはあまり感じない。

…思えば、私の手は、何度この手に包まれたのだろう?

家族でも恋人でもない男性と手を繋ぐなんて、よく考えたら小学校の遠足以来かもしれない。

そう考えたら、たかが手を繋ぐくらいのこと、我ながら堅物過ぎるのかな?と、思わずフッと笑ってしまった。

『どうした?』
『いえ…ただ今時、手ぐらい友達同士でも繋ぐのかな?って…』
『さぁ、どうだろう…周りは知らないけど、俺は好きでもない子と、繋ぎたいとは思わないけどな』

ドキッ…

言葉の意味を考えるより先に、繋がれた手がほんの少し、ぎゅと強くなる。

『…言っとくが、今までだって、コレだって、安易な気持ちで繋いでるわけじゃないから』

途端に触れている手のひらから流れ込む、感情。

私だって、本当に嫌だったら、とっくに抵抗して放してる。

言葉に出さなくても伝わるように、こちらもぎゅっと握り返してみた。

近くに民家の明かりも無く、すっかり日が落ちた埠頭内の公園は、辺り一面薄暗く、子供や女性はもちろんのこと、男性でも一人で入るのは勇気がいるくらいの暗さ。

そもそもこの時間に、こんな辺鄙な場所に人などいるのかしら?と思っていると、なぜかしら、多くはないものの、パラパラと人の影がある。

不思議に思いながらも、小野崎さんの手に引かれ、大きな柱状の建物をぐるりと廻って、その先の開けた場所に出ると、思わず言葉を失った。