明日、君を好きになる

遥か彼方に、小さく横浜の夜景が見えてきたころ、車は複数ある車線を、目的の出口に合わせ移動していく。

車はなだらかな弧を描きながら、首都高の大黒ふ頭出口で降りた。

そこは、埠頭というだけあって、辺りは見渡す限り大小様々なコンテナが並ぶ工場地帯。

すれ違う車は、一般車よりも業務用のトラックが多く、周りには一見すると何も無さそうな場所だ。

『…何とか間に合いそうだな』

時刻を確認すると、16時40分。

交差点を右折すると、よく見ていないと見逃がしそうな、公園の入り口を発見した。

『…公園?』
『うん、この先に見せたいものがあるんだ』

何台かの車が止まっている通りの左側に車を寄せて止めると、後部座席の紙袋の中から、私のコートやマフラーを出してくれる。

『外はかなり寒いから、防寒はしっかりしとこう』

エンジンを停止し車外に出ると、周辺は見渡す限り真っ暗で、街頭すらところどころにしかない。

吐く息は真っ白で、頬を掠める冷たい風は、微かに海の匂いがする。

『潮の香り…?』
『ああ、この辺りはほぼ海の上だからね…って、今は真っ暗で何にも見えないけど。…エリ、怖くない?』
『平気です』
『フッ、ホント強がるよね、君は』
『別に強がってるわけじゃ…』
『じゃ、行こうか』

小野崎さんは、シャツの上に黒のダウンコートを羽織ると、さりげなく私の右手を取って歩きだす。

『わ、私、一人で歩けます!』
『うん、わかってる。でも園内は暗いし、俺自身がちょっと怖いからね…っていうか、中に着てたセーター、今エリが着てるから、Tシャツ一枚でちょっと寒いし…』
『なっ…!』

それを引き合いに出してくるなんて、ズルい。

上目遣いで、軽く睨むも、この暗さで表情は見えない。