明日、君を好きになる

小野崎さんは、私の反応を見るためなのか、一瞬だけ視線を寄越し、直ぐフロントに向き直ると、運転に集中する。

『どうして…』
『毎日見てたあのブルーのインク、忘れるわけがない…それより、君の方こそ、どうしてあれが俺のだってわかったんだ?』
『それは…何となく』
『何となく…ね』

小野崎さんは、フッと、嬉しそうに笑う。

理由なんてない。

それは直感で、今思えば、そうであってほしいという、自分の切実な願望だっただけなのかもしれない。

『…本当は、まだ会いに来るつもりはなかったんだ』
『え?』
『勝手に、君に会いに行くのは、自分なりに決めた目標がクリアできてからだって考えていたからね…でも、偶然あのメッセージを見て、気が変わった。直ぐに、君の中にあるという答えを聞きたくなったんだ』

そこまで言うと、軽く首を振り、自嘲するように笑う。

『いや、今更カッコつけるのはよそう…本当は、ただ無性に君に会いたくなっただけだ』

この上なく柔らかな声で、告白にも似た心情を吐露する。

そのあまりにも切ない声音に、自分の感情も重なり、膝まである小野崎さんのセーターの裾をギュッと握る。

”私だって…”と、可愛らしく即座に気持ちをぶつけられるほど、素直じゃない自分がもどかしい。