明日、君を好きになる

『寒くない?』
『いえ…暖かい…です』
『それなら良かった』
『あの…』
『ん?』
『これじゃ小野崎さんが、寒くなっちゃいますよ?』

目の前の小野崎さんは、長袖のTシャツ一枚で、見るからに寒々しい。

『平気、俺、結構丈夫に出来てるから』
『それなら私だって』
『男と女じゃ、違うでしょ』
『…でも、どこかで着替えてもいいなら…』
『エリ』

袖からやっと出た私の両手をつかんで、真っすぐ私を見つめる。

『ごめん、今日はちょっと時間ないんだ。しばらくそれで我慢してほしい。それに…』

スッと立ち上がると、車道と歩道の段差があるにも関わらず、少し見上げる形になってしまう。

『寒かったら、そのセーターごと、抱きしめさせてもらうよ』
『なっ!!』
『それ、俺のセーターだし、問題ないよな』
『もッ、問題ありですよ!』

ひとしきり、からかうように笑うと、『そういうとこ、やっぱりエリだね』と、なぜか嬉しそうに微笑んで、また見つめられる。

『おッと、マジで時間ないんだった…ちょっと急ぐから、さあ乗って』

腕時計を見ながらそういうと、こちらの抗議も聞き入れずに、真後ろにあった助手席のドアを開け、有無を言わさず車に乗せられる。