明日、君を好きになる

小野崎さんの言う通り。

私が私らしくあるために、前職を辞め、人生を一度立ち止まり、やっとその先に進もうと決めた今、余計な迷いなど断ち切らなければならない。

そう、自分の中に湧き上がる、この甘ったるい感情など不必要なもの。

こんなものは、これからの自分の”足枷”にしかならない。

私が黙っていると、自分の腕時計をちらりと見た小野崎さんは、年上の物言いで言い聞かせるように口を開く。

『とにかく、今日はもう真っすぐ帰るんだ、いいな?』

思わず、下唇を噛みしめた。

折しも、公園内を冷たい風が通り抜け、周りに生い茂る樹木がうねりをあげた。

かすかに、秋を知らせる金木犀の香りが、鼻先を掠める。

…もう、限界かもしれない。

『…っといて』

何かが、自分の中で、吹っ切れた気がした。