明日、君を好きになる

未だに正常な思考が回らない頭で、どうしたら良いのか分からずにいると、後ろから『進藤、大丈夫なのか?』と悟が心配そうに声かけてきて、とりあえず頷いて『ごめん』とだけ答える。

悟の言わんとすることは、充分わかってる。

その人に着いて行って危険はないか?という意味なのだろう。

駅前のいくつかの飲食店や、お店の並ぶ歩道を、自分の意思とは関係なく進む。

いつだったか、同じように手を引かれて歩いた時とは違って、足元はふらつき、真っすぐ歩くのもままならない。

『あの…お、小野崎さん』

声をかけるも、返事は返ってこない。

無言で歩く、小野崎さんの後姿は、何故か怖いくらいに怒りのオーラが漂っている。

『小野崎さん、手っ…手を、放してください』
『…』

途端に、先程よりも強く握られ、無理やり振りほどこうにも、振りほどけない。

しばらくして駅からの通りを左折し、悟の姿が見えなくなると、若干歩く速さは落としてくれたものの、やっぱりその手は一向に解放してくれる気配がない。

仕方なく諦めて、黙ったまま着いて歩く。

頭の中では、浮かぶいくつもの疑問が、ぐるぐると巡っていた。

”何故ここにいるの?”

”何をこんなに怒ってるの?”

”バーテンの仕事はどうしたの?”