「では、私はこれで失礼します」


私はあえて何も言わずにその場を去った


このままここに居たら決意が揺らいでしまいそうになるから


「いいの?何も言わなくて」


後ろから追ってきた進がそう質問してきたけど「いいの」と真っすぐ前だけを見て答えた


前だけ見つめていないと我慢している涙がこぼれてしまいそうになるから


もし、願いが叶うならあなたと共に歩む道に進みたい


今すぐにでも後ろに振り返ってあなたを見たい


けど………あなたの夢を守るためなら私はこの道を進むよ


「さよなら、小山くん」


私の呟きは誰にも届くことなく消え去っていった