その場にいる1人を覗いては婚約について大いに満足していた


こんな茶番いつまで続くのか


不満そうな心とは裏腹に表面上はにこやかに笑顔を絶やさないのはこの婚約について唯一納得していない小山家の長男である小山陵だ


藤ノ木は手紙を読んで納得してくれただろうか


こんな時でも藤ノ木のことを考えている俺はどうかしてしまったのだろうか


いや、俺が変わった原因は間違いなくあいつの影響だ


あいつの真っ直ぐな思いにいつの間にか俺は変わっていたんだ


こんなこと考えてもどうすることも出来ないけど…


そう思って視線を下に下げようとした時バンっと勢いよく扉が開いた


驚いてその場にいた全員が扉の向こうに視線をなげるとそこには今まさに俺が会いたいと思っていた人がいた