真新しい制服が違和感なく体に馴染んだ頃、近づく夏休みに生徒たちは心なしかそわそわしているように見えた。
このくらいの気候になると、外まで画材を運ぶだけでも汗だくになる。
ベランダのコンクリート造りの柵に目をやると、陽炎ができているようだった。
暑そう……今日はもう室内でいいかな。
どうせもうほとんど出来上がってるし。
なんてことを考えながら、冷房のきいた美術室でのんびりと仕上げに取りかかる。
部員が10人に満たない弱小部とはいえ、いつもは室内で2、3人作業をしているのだけど、めずらしく今日は誰もいなかった。
秋に行われる文化祭では作品の展示や販売があるため、美術部にとっては一番忙しい時期となる。
夏休みに入る頃には、この教室も少しずつ活気が出ることだろう。
