「美咲ちゃん、また彼氏迎えにきてるよ!ほんとに仲良しだね~」 店長に言われて窓の外を見た。 梅雨はもうあけたはずなのに、じめじめとした嫌な霧雨が降っている。 ぼんやりとしたオレンジ色の外灯が照らす道路脇に、菅波隼人が立っていた。 軽いため息混じりの声で言う。 「店長、だから彼氏じゃないって言ってるじゃないですか」 何度同じ会話を交わしただろうかと思いながら、重ねられたソーサーを棚に戻した。 お店としては小さい10畳ほどの空間には、閉店時間が過ぎてもまだコーヒーの香りが残っている。