下駄箱で靴を履き替え外に出ると、夏の夜風がとても気持ちよかった。
まだ寝ぼけたままの頭で、のんびりと歩いた。
「隼人君はさ、どうしてお医者さんになろうと思ったの?」
「それは……すごく普通で単純な理由だよ」
「小さい頃体の弱かった僕を治してくれた医者が格好よく見えたから。ただそれだけ」
「それだけって、それってすごいことじゃん。隼人君はいつも成績トップだし、絶対なれるね」
「……僕はこれだけ勉強して、やっと兄さんと同じくらいの成績を保つのがやっとなんだよ」
「兄さんは、教科書なんて1度目を通せば全部覚えちゃう人だから勉強なんて必要ないんだ」
