空の色をおしえて



駅前の喫茶店で、わたしは無言のまま母さんと向き合って座っていた。

グラスの中の氷をストローでくるくる回しながら、長いため息をつく。

そんなわたしの様子を、しばらく怪訝な顔で静観していた母さんは言った。



「……あんなに行きたがってて念願叶ったのに、なんでそんな暗い顔してるのよ」





「彩花さんってさ……分かってはいたけど、常人じゃなかったんだね」


大好きなはずのアイスコーヒーの味が、何だか今日はすごく苦い。


「違うわ、普通の人よ。あの人はね、努力して努力して、何度も何度も挫折を味わって、苦しい思いをして這い上がった人なの」


母さんの口から、直接彩花さんの過去を聞くのは初めてだった。

ただの隣人として付き合ってきたのかと思っていたけど、芸術を志してはいない母さんは一番冷静に彩花さんを見守ってきたのかもしれない。