空の色をおしえて



その後も、ひたすら描いて描いて描きまくることで見えない壁を打破しようと必死になった。

自分の敗因はもう分かっている。
そう、最初から頭では分かっていたのだ。


予めある程度テーマを決めていたのだが、それがおそらく良くなかった。

というのも、どうしても『生と死』をテーマとして描きたかったのだが、何しろ奥が深すぎて、つたないわたしの画力では表現のしようがなかった。


何ゆえにそんなに難しいテーマに決めたのかというと、小学校の授業で知ったノルウェイの国民的作家エドヴァルド・ムンクに感銘を受けてのことだった。

母の死や不倫の恋、追い討ちをかけるような父の死。
愛憎からか狂気に満ちていく彼の半生は、幼いわたしにとって衝撃的な出会いといえた。

エドヴァルドは、人間の存在の根元にある孤独感、苦悩、嫉妬心、不安感、絶望、不条理さと向き合い、人物画として表現した作家だ。

晩年には精神を病みアルコール依存症となった彼だが、最後まで創作意欲が衰えることはなかったと伝えられている。



明るい絵を描くピカソや優しいタッチのルノアールもとても好きな作家だけど、今回の展覧会ではどうしても狂気に満ちたエドヴァルドのような世界観を描きたかった。


それは今まで挑戦したことのないテーマであり、キラキラと明るい色使いにこだわってきた自分への新たなる挑戦といえる。

と、ここまでの心意気は真っ直ぐと揺らぐことなく芯としてあるのだが、思いばかりが強くても、現実にはどうにもならないことはたくさんあった。


想像力、創造力、根本的な画力。
何もかもが乏しくて、たった1枚の下絵を描き上げることすら出来なかった。

到底、わたしなんぞが掲げていい目標ではないのかもしれない。


そしてまた迷走し、時間ばかりが猛スピードで過ぎ去り、気がつけば初夏の訪れを感じるような季節になってしまった。