空の色をおしえて



「菅波兄がいなくなって高校卒業するまでの間、脱け殻みたいになったあんたには誰の声も届かなくなったけど、側にはいつも菅波君がいたんだよね」


そう……隼人君がいてくれた。
それは何となく覚えている。


でも、どんなに回想しても、あの頃の記憶は古いフィルムを観ているみたいに曖昧だった。





「今だから言えるけど、あたしあの時すごく悔しかったんだ。菅波君の声なら届くのかってね」



「……あたしには、あんたを救うことが出来なかった」



わたしはハッとして綾乃の方を見た。

いつもと同じ、凛とした横顔。
でも分かる。

軽く唇を噛むしぐさは、彼女が真剣に悩んだり悔しい思いをした時にする癖だ。